この記事は2022年10月に行われた「澤地隆の作詞家リアルボイス」第二回目「どこまで歌詞の見かけにこだわってる?」の詳細レポートです。
当日の熱い雰囲気が伝わると良いなって思って作成しました。
当日参加できなかった方もぜひチェックしてみてください。
トミー染川
思いがけないオープニング
画面に「作詞家リアルボイス」まもなくスタートの文字が表示され、その後まもなくスタートの文字がゆっくりと消えていく。
そしてオープニングテーマ「Toca Toca Blend」(澤地隆さんユニット)の「仕方ない人」でスタート。「澤地隆の作詞家リアルボイス」のタイトルコールでトミー染川がしゃべりだす…そして澤地隆さんを呼び込む…ここまではよかったが、ちょっとしたトラブルがあり少々中断。思いがけないアクシデントに進行役のトミー染川、心の中はパニック状態、でも見た目は冷静に対応している様に見える…笑い本当にパニックだったんですよ。
ちょっとした修正を行ってすぐに回復。
気を取り直して本編が始まる。
「すみません、こんなこともあろうな…で。(トホホ)早速本編を進めていきましょう。」
「ところで澤地さん。今オープニングで使っていた曲は澤地さんの?」
「そうそう最近始めたプロジェクトで「Toca Toca Blend」というユニットの曲で「仕方のない人」という曲です」
「これは澤地さんが作詞を?」
「曲は作曲家が書いて詞は僕です。このプロジェクトは作曲家と二人でやっているのですが、曲によってボーカルが違うというコンセプトで始めたプロジェクトです」
「この曲、最近妙にはまってしまって、昔のシティポップスのような感じでめちゃくちゃ好きです」
「ありがとうございます」
「ところでトミーさん。今、ちょっと失敗はしたけど、オープニングなんかバージョンアップしていません?」
「そうでしょう!前回の時に二人だけで話していてちょっと寂しかった…そこで BGM が欲しいと思ってオープニングを作ってみた。ただスタートっていうよりもなんかカッコよくできないかな…と思って作ってみたのですがねぇ~」
「テレビやラジオのように、色んなエフェクトや効果を使って楽しく出来ないかな…と思い、なれないパワーポイントや機材を駆使してやったつもりが失敗してしまって…」
「これだったら第三回目はもっとクオリティー上がるのでは?」
と見えないプレッシャーをかける澤地さん、、笑い
歌詞の見かけ、品質にこだわる事
「さて本日のテーマ『どこまで歌詞の見かけにこだわってる?』ですが澤地さん、よくぞこれを二回目のテーマに持ってきてくれたと思って…」
「本当ですか…という事は、トミーさんもそれを感じるって事ですか?」
「そうそう、僕も普段から作詞や作曲を教えていたり、イベントやレコーディングで詞を選ぶ側にも立つことがあります」
「それと自分がやっている会があり、そこでは色んな作品が送られてくるのですが、このレイアウトや書き方だと分かりづらい…という作品もあり、内容は良いけど見た目で損している…という作品がたまにある」
「なるほど…」
「せっかく内容が良くても見た目で損していたら悲しいですよね。」
「表現力とか言葉を勉強する、これも大事だけど、自分の作った作品を世の中に広めるためにも、お化粧は必要だと思います」
「そうです」
「確か前回は『字数』の話をしましたね」
「今回は『見栄えの話』これって詞の内容とは必ずしもイコールではないけど、こういうことは物凄く大事、僕らはこれが出来て当たり前、これが出来てないと作品をみてもくれない…最低これはやりましょうって話なのです」
「だからこのテーマが二回目なのですね」
「例えばの話ですが車メーカー、、そうですね、、例えばトヨタ」
「その世界のトヨタが自分の所の車を世の中に出す時に、ちょっとくらい傷がつ
いていてもいいや、とかブレーキが甘くてもいいかな?これはありえないですよね」
「詞もね、自分たちが作った子供、なんていうのでしょうかね、商品ですからできうる限り最高品質で出さないと、大体でいいやというのは絶対にないと思った方がいい」
「前回お話ししたように『覚悟を持って』取り組まないとダメだと思います。でもこれに関しては決まった答えはなくて、それぞれの考え方でいいと思います」
「その中で出来得る限り自分が考える最高の品質でだしていただく」
「僕は色んな作品と出会う事が多いのですが、これって人と人との出会いに近いかな…と思っています」
「まさにそうですね…」
「第一印象ってすごく大事じゃないですか…」
「そうそう、これってお洒落をするって事よりも相手に対するリスペクトだと思うのです。失礼のない物をきちんと出して、読んでください、読んで頂きたいという気持ちが伝わるようにしないといけないと思います」
やっぱり、いい作品は見た目、絵柄がきれい
「そのためには、詞でいうとタイトルがあるでしょ、そして作詞家の名前、そして本文がある」
「そうですね、まずはどういうタイトルをどのくらいの大きさで書くか?そして本文はどのあたりに、どのくらいで書くか?」
「作詞家の名前ですが、僕も色んな作詞家の方の作品を見てみるとタイトルの後に書かれているのが一般的かな?」
「中には作品の右下に書かれている方もいますね」
「これから本題に入っていきますがどんな文字の大きさ、どんなフォント、どういう位置に書くか、これは物凄くこだわってほしい」
「そうですよね。さっきお話しした事で読む前に感じる作品の良さというものがあって、あとでこの話も出てくると思いますが歌手って作詞家の書いた詞を見て歌レコーディングします。この話は意外とみんな知らない」
ー 澤地さん、これには大きくうなずき ー
「そうそう、これに関してはあとで詳しく話をしたいと思うのですが、レコーディングで歌手は作詞家の詞を見て歌います」
「A4 で読みにくい場合は A3 に拡大したりするので、皆さんが書く詞はディレクターやプロデューサーに見せるだけではなく歌手が自分の詞を見て歌う…と言う事をものすごく意識しないといけないと思う」
「よくディレクションする側から表現力を豊かに、気持ちを入れてと言うじゃないですか?煩雑なレイアウトの詞の場合この詞で気持ちを入れろと言われても無理だよって事になる」
「プロとして活躍している作詞家さんの詞はそういう事はないけど、新人の書く詞でこれは無理という事があり僕の方で書き直したこともありました」
「いい作品は見た目、絵柄がきれい」
「ですよね、そう思う」
「皆さん、お勤めされている方もいるかもしれませんが、例えば企業内のプレゼン資料とかも、みんな一緒だと思います」
「いい出来栄えの物は見た目、絵柄がきれい」
「そうそう、僕は何度も言っていますが、読む前に、この作品を読んでみたい…という絵柄の作品、観ただけでピピっとくるんですよ、そしてきれいな絵柄の作品は字面をたどっていくだけで内容が入ってくる」
作品は1枚にまとめ2段2列にはしない様に調整する
「僕はタイトルを少し大きめのフォントにして、その下の右端に名前を書きます。それと僕の名前が隆と書いてりゅうと読むので、ルビをふっています」
「隆と書くと松本隆さんとかもいらっしゃって、ライナーノーツに英語でたかしと書かれないようにあえてしています」
「そして自分が使っているフォントですが、今まで紆余曲折あったのですが結局、今は明朝体で書いています」
「一時ゴシックにしたこともあったり、ちょっと変わったフォントにしてみたり、という時期もあったのですが今は戻って明朝体にしています」
「曲によって1行の長さって色々あるのですが、字と字の間が詰まらないように設定で広げたりしています」
「それは Windows だったらワードの設定ですか?」
「そうそう、字間の設定で調整していますね」
「作品の提出、色んな方法があると思うのですが、例えばワードで送るのか、ワードを PDF にして送るのか…ってあると思いますが、僕は相手の要求が無ければ基本的には PDF で送っています、その方が間違って内容を書き換えられてしまう…って事も防げるし」
「最近は無くなっていますがマッキントッシュと Windows の間のファイル交換で文字化けしたりしていましたね。PDF だとそれは防げる」
「そうそう、澤地さんに質問があるのですが、曲の構成が長いやつってありますね、詞が1ページにはまらない時ってどうしています?」
「これはね、改行とか余白の話につながるのですが、僕はね、1ページ以上になるとか、2段、2列になるとかは絶対にやらないようにしています」
「何とか1ページになるように行間を工夫したり、改行の場所を工夫したりして1ページに入るように工夫しています」
「なるほどね、先ほどのレコーディングの話ですが、2ページになると A3 の紙が縦に並ぶって事になりますからね、、歌いながら歌詞を目で追っていくのは難しい」
「レコーディングの歌入れって一瞬を争うっていうか、ちょっと目がどっか行っちゃうと分かんなくなってしまうくらい歌手の人は極度の緊張感で歌っています」
「少しでも目線の動きで次が歌えなくなってしまう」
「だから僕が気を付けている事って『上から順番で読んで行けるようにすること』と1行が長すぎるとどこを歌っているのか判らなくなるので『あんまり1行を長くしないように心がけている』」
「なるほどね」
「それと曲の構成、ABC ABC CC と繰り返すのであればブロックごとに間をあけるように僕はしている、作詞家の中では1番2番をひとまとめで書く人もいる、その人のスタイルだと思う」
「それとレコーディングで2番の B から録り直しましょうとかの時に一目で分かりやすくなるようにブロックごとに開けるようにもしているし、フレーズが分かりやすくするために間をあける…という事もしています」
「ただすごく重要なのはフレーズの途中で改行になってしまったり変なところで改行になってしまったりはしないようにしという事でしょうか」
「微妙ですよね、歌詞を1枚に収める為に改行や、1行の長さを調整するけど、読みづらくならないようにするという事ですよね、難しいですよね」
「難しいけど、すごくそこは考えます、何とかしてね」
フォントは今まで2種類使ってみたけど、結局、、、
「以前、一緒に組んでいた作詞家で佐藤ありす(Choo Choo Train の作詞担当)という人がいて、ありすさんは自分専用の原稿用紙に手書き、あと松本一起さんは名前入りの専用の用紙、確か A3 くらいの大きさの用紙にちょっと大きめのフォントで書いていましたね」
「それと次のテーマになるのですが、先ほどフォントを新しくして、そして戻したって話をしていましたね、それってなんか違うと思って戻したのですか?」
「最初は何も考えずに明朝体を使っていて、でもなんか普通で面白くないな…と思って、もう少しポップな感じがこの業界いいのかな?と思ってゴシックにしたのですけど、どうも最近もう少しきちっと中身、心を読んでほしいな…と思っているうちに明朝の方が気持ちは伝わるのではないか?そう思って明朝に戻しました」
「澤地さん、作詞家としてのキャリア長い中で使っていたフォントは2種類って事ですね」
「今、ポップという言葉が出て来たけど、なんかカチカチの文字のイメージで作品のイメージが少し変わって来ますね」
「そうそうそう、本当は曲によって違うと思う」
「ちょっと大人っぽいのであれば明朝で、もう少し若いのであれば丸ゴシックとか、最近はやっているけどメイリオとか、色々とあると思う」
「そういうのを使う手はないわけではないと思うけど、作詞家が作る作品全体がその作詞家の個性、や品質になると思うので曲によってコロコロ変わるのもよろしくないのかな…なので最近は逆にオーソドックスにしています」
「制作している人間側の意見として、作品が送られてきた時に作品を見てこれは澤地さんだよねとか、一起さんだよね、みたいな個性がある」
「そうそう、それは匂った方が良いと思う」
「でも匂い過ぎるのも?さじ加減難しいですよね」
澤地さんは詞を書く環境ってこだわっている?
「僕は松井五郎さんとか今話が出てきた一起さんと一緒に仕事をしたことがあるのですが、あの二人は、1番は1番でダーって書きますね、松井さんは1行あまり長くないね。そのちょっとしたところが作詞家の個性になってくるのかな」
「今の話の中に入るか分からないけど、例えば、松井五郎さんのアトリエに行くと使いやすい鉛筆がペン立てにきっちりと削られて置いてあり、詞を書く環境にこだわっている様に見える」
「そうそう、みんなこだわっていると思います。そういう細かい拘り仕事場の拘りとか、使っている道具とか、なんでもいいやって言うのはダメね」
「さっきの詞の見栄えの話と同じで、神は細部に宿るとか、細かいところにこだわる事の積み重ねが全体の品質を上げることになるのかも」
「澤地さんは詞を書く環境ってこだわっているのですか?」
「こだわっています。ただそれは最後のまとめだけで、何処にいても考えている。でも仕事環境はこだわっています」
「クリエイティブになれる環境って大事ですよね」
「話戻りますが先ほどの1ページに収めるという事はすごいな…」
「改行、フォントの大きさ、余白などを使ってどうにか収める努力はしています」
繰り返し記号はダメ。それを全部書く事がストーリーだと思う
「なるほど!話は少し違うのですが繰り返し記号ってあるじゃないですか」
二人ともそれだ!というリアクション
「それですよ、そこは面白い所をついてきましたね!」
「CD のライナーノーツにはデザインの関係で1 とか2 とか書いてありますが作詞家が作るもの、これは絶対だめ」
「読む側としても内容が伝わってこないし、先ほどのレコーディングの時の歌入れの時はそれを見て歌うので、きちっと書いてあげないと目が飛んでしまうし、それを全部書いてあげることがストーリーだと思います」
「CDのジャケットに書かれている歌詞のレイアウトはあればデザインだから作詞家はマネをしてはダメですよね、、」
「ダメです」
「よく真ん中合わせの歌詞って送られてきます。CD のライナーノーツ見てまねていると思うけど、これもきっちりとレイアウトを作ってあげないとだめですね」
「作品が自分の手を離れる…と言う事を意識した方が良いと思う」
「自分が書いた作品は自分の思い入れがあり、思い入れも込めてみているので伝わりづらいところに関しては気がつかないケースが多い」
「送った相手がどんな受け取り方をするのか?そこは出来る限り考えた作品作りをした方が良いと思う」
「そうそう、歌う側の気持ちになって愛をこめないといけませんよね
平仮名、カタカナ、漢字、英語にはきっちりと拘って
「作品の中で平仮名、カタカナ、漢字、英語はきっちりとこだわって言った方が良いと言っていましたね」
「これもね、まず言語両断なのは場所によって漢字を使っていたり、いなかったりとか…例えば、君って漢字を使ってみたりキミってカタカナを使ってみたり、それって違う人のキミなのかな?と思ったりします、これはダメですね」
「そうですよね」
「それと漢字の割合、皆さん普通の文章で漢字の割合が何パーセントくらいだと読みやすいかわかります?」
「これね30%くらい漢字を使っているのが読みやすいと言われている。40%だと硬く感じる 20%だと柔らかく優しく感じるといわれている」
「僕が言いたいのは 30%にしなさいという事ではなく、この詞はどの程度漢字を使ったらこの曲に合うのか?を考えてほしいという事なんですが」
「なるほど」
「またこの言葉は漢字を使うか平仮名を使うかを考えながら使ってもらいたい」
「基本、文章は一般的に言われている事ですが、常用漢字は漢字にしましょう」
「それ以外はわざわざ難しい文字を漢字にする必要がない」
「それをしてしまうと読めない人も出てくるし、読みにくくなるし印象が硬くなる、クイズ番組などは特殊で、通常の文章は常用漢字だけを漢字にする」
「この常用漢字は時間があればネットで調べてみてください、意外に思ってもみなかった言葉が常用漢字ではなかったりする、つまり平仮名で書かないといけない文字という事」
「なるほど」
「例えば、さまざま(様々)および(及び)などは平仮名で書くことが一般的」
「また常用漢字として認められていても読み方が常用ではないよというのもある「など」「ほか」「ために」とか」
「常用漢字って内閣が告示した現代日本語の漢字の事でさらに難しいのですが慣用表記として漢字を使うか使わないか?というのもある、という事は必ずしも漢字にすればよいとは限らないという事」
「全体の中でこの曲の中に合わせた時にこの漢字を使った方が良いのか?平仮名の方が良いのか?解りやすいのか?これも良く考えて作ってもらいたい」
「漢字が多いと難しく感じる」
「そうそう、でもわざとする場合もあるので、絶対にダメという事ではなく、考えてほしいという事ですね」
「ですよね。PC で打っていると勝手に変換してくれたりします、これで使ってしまうと…と言う事でしょうか?」
「意図的に読みにくい漢字を並べる方法もある」
「ビジュアル系なんかはそうですよね」
歌詞における英語の使い方や季節感
「そうそう、カタカナや英語も場合もおんなじで考えてほしい」
「英語の場合、単語の時はカタカナの方が良いかもしれないとか、歌い方でこれは日本語のカタカナとして言っている言葉なのか?英語なのか?そうすると字数の取り方も変わってくる」
「これは澤地さんから聞いた話ですが英語って歌詞に使うのは難しいですよね」
「難しいですね、最近は英語の入っている歌も多いし、意味が分からない…という前提で入れている歌詞もある、でも中学生レベルでもわかる文章を基本とした方が無難」
「そのうえで歌手、ディレクターとの話の中で難しくしても良いのかどうかの判断をするべき」
「自分が英語出来るからって英語表現を使う。でも聞いている人って英語の所は聞いていない、流し聞きしてしまうケースが多い、英語の部分を意味を飛ばして聞いてしまう」
「でも耳から聞こえる英語のカッコよさや乗りが良いので使いようですけども」
「十分気を付けて書いてほしい。英語の大文字小文字の書き方も気を付けよう」
「私も失敗した事があるけど文法にも気を付けた方が良い」
「英語も使い方次第って事ですね」
「以前ある歌手で英語を使いたいという事で使ったけど、文法的に間違いではないけど、あまり、、、というのがあってそれを新聞に書かれてしまったという事もありました」
「表現のプロフェッショナルとしては間違ってはだめですよね」
「間違っちゃだめですね」
「自分たちは中学から英語を勉強したけど、でもそこで習った言葉、表現方法って今はこんな言い方はしていない…と言う事もありますよね、その辺の感覚って難しいですよね」
「そうそう、今日のテーマからは外れるかもしれないけど英語をどうしても使いたい場合は海外で歌われている英語の曲、そこで使われているような文章を参考にしてみるのも良いと思います」
「詞の発注で今はどうか分からないけど以前は英語を使わないでくださいって事もありましたよね、、それと作詞家の方が英語を使いたい時は英語を使っても良いですか?と確認していましたね」
「あります。というか僕は必ず確認します。英語を使っていいか?使うとしたらどの箇所に、どのくらい?みたいに確認します」
「ついでに言うと季節感を出すか出さないか?を確認します」
「歌手がその曲を長く歌っていく、みたいな時あまり季節感は出さない方が良かったりしますね」
「逆にアイドルの場合は季節感を出すケースもある、理由としては長く歌わない…という前提でね」
「それと主人公、1人称をなんて呼びますか?俺ですか?僕ですか?そこも確認するようにしています」
女性歌手なのに僕って?書き手に質問すると、、
「作詞の添削をする時に女性の歌手でも僕という1人称を使った作品がたまにあります」
「女性歌手なのに僕って?書き手に質問すると、この歌手は過去の作品に僕って使っているから OK だと思います。という答えが返ってくることがあります。それってケースバイケースですよね」
「そこは確認した方が良いですね。そうしないと賭けになっちゃいますよね」
「今時、女性が男性の歌を歌う時もあるし、この曲はそういう曲だという場合もあるので確認するようにしています」
「ですね、それって作り手側の意図でそうしているって事ですよね」
「僕は Chage さんの曲を結構書いているのですが、チャゲさんの場合、今回女性を主人公にしようか?と言う事は時々ありますね」
「最近は発注側の顔が見えない状況での発注が多いので、作り手側が冒険しすぎても不利になってしまう事が多い気がします」
「そうですね。採用される可能性の幅、率をあえて下げない方が良いと思うし、またそんなリスクを超越するくらい良い作品になるケースもあるけど、でも怖いですよね」
やはり英語を使う時は確認した方が良いと思う
「英語の話に戻りますがサビ頭英語にすると、聞かせどころが英語になると弱くなったりするじゃないですか?」
「例えばダンス系の曲とかヒップホップ、R&B より系とかシンガーが踊りながら歌う時とかはありだと思います」
「でも事前に確認してからそのアプローチをする方が良いですね」
「コンペで出すときは絶対なしという事はないけど、解りやすい作品にするために使いすぎない事を注意した方が良いと思います」
「ですね、最近は発注側の顔が見えなく、発注されたメールの内容だけを頼りに作詞をする事が多い。可能だったら中に立った人経由で聞いてもらう、確認してもらうとか必要かもしれませんね」
「そうですね。採用される可能性の幅、率をあえて下げない方が良いと思うし、またそんなリスクを超越するくらい良い作品になるケースもあるけど、でも怖いですよね」
「僕だったら出来るだけノーマルにしておこうと思いますね」
ファイル名ってどうしている?
「最近思っているのが昔は作品を送る時に郵送だったりファックスだったりしましたが、最近はメールに添付というケースが多いですね」
「そこで気になるのがファイル名」
「ファイル名でタイトルしか書かれていない事があって、あれって集め側からすると困ってしまいます」
「もちろん作品をみると名前とか必要な情報があるのですが、応募作品が沢山あった場合、その都度ファイルを開けて確認するって結構ダイヘンなのです」
「なるほどね」
「今日は良い機会なのでその話をしたいな…って思って」
「例えば、作詞家っていう詞があったらファイル名に作詞家と書いて送ってくる、送った人は分かっているけど、集まってきた作品が選び手のフォルダーに 100 個収納された時にファイル名を見ただけでは誰の作品か分からなくなってしまう」
「最近はファイル名を日本語表記しても文字化けしなくなったけど以前は頻繁にあって、ウインドウズとマックの間でのやり取りも文字化けが多かったです、最近もたまにあります」
「昔は全部ローマ字でファイル名を書いていたけど、最近は日本語で書いています」
「書くのはタイトルとアーティスト名、と自分の名前は書くようにしていますね」
「作曲のコンペだったらこういう風に表記してください…とクライアント側から指定されることもあるんです。僕が作品提出する時には作家名、タイトル、作曲だったら速さ BPM とジャンル、そして送った会社名を書いて出しています」
「澤地さんは作品送る時にはメールに直接添付で送っていますか?」
「ほとんどが添付ですね。あと曲をもらう時はストレージサービスやクラウドに上げておいたのでダウンロードしてね、みたいなケースも多いので、作詞家もITの知識が必要になって来ていますね」
英語、句読点の話。I love you は何文字?アイラブユーは?
「ちょっと話が戻ってしまうのですが、作詞の発注って曲先ですよね、その時英語の歌詞をメロディにはめる時、音のリズムって大事じゃないですか?」
「日本語でアイラブユーは 5 文字ですね、英語読みをすると 3 文字ですね、これを間違えちゃうとカタカナ英語みたいに変な曲になったりします」
「やはり感性とか慣れって事ですかね」
「そうですね、やはり沢山曲を聞くって事ですかね…メロと言葉のはめ方が勉強になるとおもいますよ」
「聞いた話ですが英語って英語表記すると英語扱いで、カタカナ表記にすると日本語扱いになる…」
「そうですね、カタカナで書いたら日本語ですね、ラブだったら二文字扱いで、英語表記したら英語で1文字扱い」
「先ほどの話で英語を使う時って確認するという話があったけどカタカナで書く場合は確認しなくても良いという事になるのかな?」
「そうだと思うし、例えば、日本語の中に英語の単語だけ英語表記で書かれていれば OK だと思います]
「文章になっていなければ…ただし限度がありますよね、英語の単語がそこら中に出てくるとなればこれは違うと思うけど多少ならありかな」
「僕は英語には疎いのですが書く側としては英語の表現や、今はこんな言い方をしていない…みたいな事もしっかりと勉強する必要があるという事ですよね」
「自分は分かっていない…という自覚をもって取り組んだ方が良いと思います」
「真冬に真夏の歌を作る事って多いですよね」
「ですね。早め早めに作っていますよね。そうそう、去年も1曲クリスマスの曲を書いたのですが確か7月くらいに書きましたね」
「大体半年前って事かな?」
「そうそう、ひとつ言っておきたい事があって句読点「、」とか「。」ね」
「。」はあんまりないけど、は最近使う人が多い。これには答えはないですが皆さんはこだわって作ってほしい」
「僕の作った作品でもいくつか句読点を使ったものがあるけど、個人的な考えですが、原則は詞、詩って句読点のない物を言います」
「句読点があるものは特殊、亜流でやっちゃダメとは言わないけど知っておいてほしいと思います」
「正式な挨拶状などの文章には実は句読点は無いです、入るとちょっとポップな感じがします。ここは句読点あったのにこっちは無かったとか、多用しすぎ。などをしっかりと考えて使って欲しいですね」
「最近は発注側の顔が見えない状況での発注が多いので、作り手側が冒険しすぎても不利になってしまう事が多い気がします」
質問コーナー
「さてここで新しいコーナー質問コーナーをやってみたいと思います」
質問 1
「送られてくる音源はデーターで来るという事でしたが、私は売り込みをする時に CD にしてプレゼンしています。以前、音源はCD で来たと思いますがその時の表紙ってどんな感じで作りましたか?」
「表紙の事ですか?」
「先ほど見た目が良くなかったら聞いてももらえないというお話でしたね、CD でプレゼンする時も表紙や体裁って大事ですか?」
「自分の所に送られてくる音源、以前はカセットだったり MD だったり、CD だったり色んな変遷があるのですが、作曲家から送られてくる CD は表面に直接マジックでタイトルとかが多かったかな…」
「売り込むのだったらちゃんとした方が良いと思いますよ、CD のラベル印刷とかちゃんとした方が良い」
「どうですかトミーさん」
「CD 本体とケースがバラバラになる事が殆どなので両方に誰の誰から送られてきたデモなのかがわかるようにした方が良いと思いますよ」
「先ほど流れてきた曲の CD ですが…」
といって「Toca Toca Blend」デモ CD を見せてくれたきちっとデザインされていてさすが体裁もばっちり
質問 2
「曲全体の構成で1番と2番の構成が違う時、例えば、AA'BCA'BCCC みたいになった時のレイアウトってどう書けば良いと思いますか」
「昔からこの構成はよくあるのですが、上から下にダーって書いていくのが良いと思います」
「人によっては C を1文字下げるやり方をしている人もいます」
「今の質問って詞が先にあるパターンの事ですよね。作詞の場合殆どが曲先なので基本的にはクライアント指定の構成で書くことをして下さい」
「また作曲家のデモが1コーラスしかない場合はクライアントの指定された構成で、もしフルコーラスあって構成に何も指定がない時はそのデモの流れで書くと良いと思います」
「これが僕の書いた作品ですが」
といって澤地さんの書かれた作品を見せてくれました
「澤地さんの見せてくれた作品は余計な情報はないですね」
「詞にリハーサル記号や繰り返しの指定などは一切書いてないです」
「あと詞の余白にこの詞の意味とか書いてくる人もいるのですがこれはやめた方が良い」
「詞だけで分からないとダメですよね」
質問 3
「コンペに出してボツになった作品はまた使ってよいのか?」
「OK だと思います。ただししっかりと返却されたことを確認するのが最初、あと内容は対象歌手が変わったりコンセプトが変わるのでそのまま使うのではなく手直しして使った方が良いと思います」
「以前 Chage さんに採用された時 100 か所デモを送って1か所 Chage さんに採用されたのですがプロデューサーから残り 99 か所から詞を引き上げてほしいと言われた」
質問 4
「タイトルは同じではいけませんか?」
「基本的にはオーケーだと思います」
「その場合、別作品として考えれば良いと思います」
「最近の状況は採用、ボツ、返却、キープという事が非常にあいまいになって来ていて、その作品でリアクションしようという時は必ず別で使っても良いか?確認することが大事だと思う」
「それを怠るとあとで大問題に発展する事もあるので要注意」
「必ず確認した方が良いと思います」
エンディング
「そろそろお別れの時間がやってきたようです」
「次回の「作詞家リアルボイス」は青 Y りんごさんで 12/18(日)の予定です。そして澤地さん次回は確か年明けになるのかな?」
「そうですね」
「澤地さん今日はどうもありがとうございました。」
「ありがとうございました」
「ではまた次のリアルボイスでお会いしましょう」